【消費税は百害あって一利なし!?】消費税増税で非正規社員「人材派遣」が増える仕組み!竹中平蔵「正社員をなくしましょう」~人材派遣も米国指示だった!「悪魔の雇用システム」現代の奴隷制度・人材派遣~
■消費税ゼロなら“非正規労働問題も解消する”というカラクリ
日刊ゲンダイ:2019/07/26
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/259050
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消費税を引き上げると派遣社員が増える――。
総務省「就業構造基本調査」によれば、1997年の非正規労働者は1139万人(全体の23.1%)だったが、これ以降から増え続け、2018年は2120万人(同37.9%)になっている。
97年は消費税が3%から5%に上がった年で、これから非正規労働者の割合が増えていることが分かる。
消費税は輸出大企業に恩恵をもたらしている。
還付金制度もそのひとつで、湖東京至税理士(元静岡大学教授)の試算によれば、トヨタや日産、キヤノン、パナソニックなど製造業13社だけで約1兆円の還付金を受けているという。
・派遣社員なら仕入れ税額で税金控除
消費税の納付税額には「仕入れ税額の控除」というものがあって、「原材料費等の購入」や「広告宣伝費、厚生費、接待交際費、通信費、水道光熱費」などを控除して計算され、税額が少なくなる。
また、この控除対象には「外注費」という項目もあり、加工賃や人材派遣、ビル清掃のありとあらゆるところを派遣や請負に切り替えれば、その経費まで控除される。
当たり前だが、正社員の給与は控除されず、だからこそ企業はせっせと正社員をリストラし、社員を非正規労働者に置き換えて“節税”してきたわけだ。
要するに消費税そのものが、正規社員と非正規社員の格差、つまり、貧困格差を生み出した元凶のひとつと言えるのだ。
この問題に関しては、青山学院大学教授(租税法)の三木義一氏も著書「日本の税金」の中で、〈消費税は派遣労働を税制面から促進してしまう〉と指摘している。
再度、分かりやすく説明すると、企業と派遣業者には雇用関係はないから、企業が支払う金銭は「給与」に当たらないというわけだ。
消費税のアップと呼応するかのように労働者派遣法も改正され、非正規労働者や派遣労働者が増えていった。
消費税が8%にアップした14年の直後にも派遣法が改正され、専門業務の恒常的派遣が合法化された。
当然、今年10月から税率が上がれば、企業はさらに「外注費」の割合を高めてくるだろう。
経済評論家の荻原博子氏はこう言う。
「10月に10%に上がれば、ますます非正規労働者は増えるでしょう。一方、内需型の中小企業に限っては税制面の優遇は少ないですから、内部留保も増やせない。結局、人件費を抑えるために非正規労働者を増やすでしょう。この半年、毎月勤労統計調査の所定内給与額は下がり続けています。雇用格差や貧困は広がるばかりです」
消費税のような間接税は、その逆進性から低所得者層ほど負担が重くなる。しかし、その低所得者をつくり出しているのが消費税だったとしたら、まさにブラックジョークでしかない。
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消費税ゼロなら“非正規労働問題も解消する”というカラクリ
日刊ゲンダイ:2019/07/26
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/259050
■消費増税すると派遣社員が増える税制上のからくりが! 増税は安倍政権に近い派遣会社を儲けさせるだけ
excite.ニュース 2015年11月13日
https://www.excite.co.jp/news/article/Litera_1675/
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厚生労働省が4日、2014年の「就業形態の多様化に関する総合実態調査」で、パートや派遣などの非正社員が労働者にしめる割合が初めて4割に達したと発表した。
非正社員の割合は40.0%。民間のみの調査だった前回は38.7%。
非正社員の約6割をパートが占め、次いで契約社員や定年後再雇用などの嘱託社員が多い。
朝日新聞デジタル11月4日付「非正社員、初の4割 雇用側『賃金の節約』」では、高齢世代が定年を迎えて正社員が減るなか、人件費を抑えたい企業が非正社員で労働力を補っている実態が浮き彫りになったと分析している。
今後、ますます、この傾向が加速しそうだ。
消費税のしくみが人件費を抑制させ、非正規雇用を増加させてしまうからだ。
三木義一『日本の税金』(岩波新書)には「注意しておかねばならないことがある。
消費税は派遣労働を税制面から促進してしまうことである」と記されている。
どういうことか。
わかりやすくいえば、正規の従業員に給与を払うと(課税仕入ではないために)その分に消費税がかかり税務署に消費税を払わなくてはならなくなるが、派遣社員を使った場合には給与ではなく「労働者派遣料」となり(課税仕入となり)、派遣を受ける会社はその分の納税を税務署にしなくていい(控除される)のだ。
「消費税は付加価値税だと説明したが、事業者の課税売上から課税仕入を控除した付加価値に実質的に課税される制度である。そうすると、課税仕入が多いと、消費税も減るので課税仕入に何が含まれるかが重要になる。会社が従業員に支払う給料は課税仕入ではない。人件費は企業の付加価値の一つで、サラリーマンは事業者ではないからである」(同書より)
このため企業は、消費税を減らすために「派遣労働を『活用』することになる。なぜなら、労働者の派遣を受ける会社とその会社に派遣されてくる労働者との間には原則として雇用関係がないので、派遣を受ける会社が支出する金銭は、労働者派遣法の適用のある労働者の派遣に係る対価(労働者派遣料)になり、給与ではなくなるからである。対価を支払った会社は仕入税額控除ができることなる」(同書より)
仕入税額控除ができるとは「課税仕入に含まれる」ということだ。
また、藤巻一男氏による「特別論文 消費税増税に伴う滞納増加の懸念とその発生原因及び対応策」(「税経通信」2014年5月号/税務経理協会)によると、付加価値に占める給与の割合は、約6割だという。
「財務総合政策研究所の法人企業統計調査の統計によれば、付加価値に占める給与の割合は、約6割を占めている。法人税の赤字申告法人(全体の7割超)であっても、消費税を納税するケースが多いのは、上述の給与の取扱いが大きく関係していると考えられる。民間における給与総額は平成10年分をピーク(223兆円)に逓減し近年では190兆円台で推移しているが、長期的に見ると安定的であり、これが消費税の税収の安定化の主な要因になっていると考えられる」
つまり、赤字法人でも給与を払っていればその分の付加価値を支払わなくてはならない、政府にとっては理想的な税金だが、それが現在の中小企業の滞納の増加の一因になっているという。
なお、法人税の場合は、「益金から損金を控除した所得に課税され、損金の中には当然従業員給与も含まれる」(前出『日本の税金』より)ので、給与を払った分には法人税がかからないのだ。
『日本の税金』の著者である三木義一氏は青山学院大学法学部教授で租税法のスペシャリストだ。
氏は「消費税率を引き上げるときは、労働法制の方で適正な規制をしないと、派遣労働がさらに増える可能性がある」と懸念している。
しかし、政府は労働法制での適正な規制もなく、さらなる増税に動き出している。
3日には、菅義偉官房長官が東京都内で講演し、再来年2017年4月に予定している消費増税について、大きな経済の混乱がない限り、軽減税率と同時に実施することを改めて明言したという。
安倍政権の消費増税でさらに非正規社員が増え、貧困層が増大する。
ますます潤うのは安倍政権に近い大手派遣会社ばかりなのだ。
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消費増税すると派遣社員が増える税制上のからくりが! 増税は安倍政権に近い派遣会社を儲けさせるだけ
excite.ニュース 2015年11月13日
https://www.excite.co.jp/news/article/Litera_1675/
■委託外注費 -消費税増税で外注や派遣が増えるナゾ
PRESIDENT 2014年1月13日号 柴山政行 公認会計士・税理士
https://president.jp/articles/-/12080
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円安による輸入コストの増加に消費税の増税……。
賃金が上がらなければ、国民の生活はますます苦しくなる。
その消費税の増税により、派遣社員の増加や社内の社員を独立させた外注化等が増えるかもしれないのだ。
「えっ、なぜ」と疑問に思った人がいるはず。
実は企業の節税方法として、会計人にとっては有名なカラクリがある。
まずおさえておきたいのは、社員に払うのが「給与」なのに対して、外注先に払うのは「外注費」ないし「委託費」となり、消費税法上は「課税仕入れ」となる。
つまり、給料は消費税の課税対象外だが、外注費は課税対象になっているということだ。
消費税率が5%で外注費が300万円であれば、15万円の消費税を一緒に相手に支払う。
そうなると、企業の負担は合計で315万円。
「消費税を負担しなくて済むよう、300万円で社員を雇ったほうが得ではないか」と思うかもしれないが、そう単純な話ではない。
・社員と派遣、消費税への影響は15万円……?
企業は売上高に応じた消費税、つまりお客さんから預かっていた消費税を国に納める。
でも、そのときに仕入れや他の多くの経費などに対して支払っていた分の消費税を控除することができる。
派遣または外注先への委託費も課税仕入れなので、先の15万円の分を控除できる。
売上高の1000万円に対して、仕入れ原価400万円、諸経費200万円、給料300万円がかかったとする。
消費税率が5%なら、売上高1000万円に対して預かった消費税は50万円。
一方、自社が支払った消費税は、仕入れ分20万円、諸経費分10万円の合計30万円。
つまり「50万-30万」で20万円が納税額となる。
一方、社員の代わりに派遣や外注を頼むと、外部委託にかかった15万円の分をさらに控除できるので、「50万-(20万+10万+15万)」となって5万円の納税額で済む。
結果、それだけ懐に残るキャッシュが増え、「それなら派遣・外注を頼もう」ということになる。
ここまでは「消費税を委託外注費に正しく上乗せして支払っている場合」の話。
もしも、委託外注費に消費税が上乗せされていなければどうなるだろう。
言い換えると、「税別300万円」ではなくて、「税込み300万円」の場合はどうなるか。
「300万÷1.05」の計算式から285万7143円の委託外注費が求められ、残りの14万2857円が消費税分となる。
もちろん、この14万2857円は預かっていた消費税の分から控除できる。
さらに、消費税が8%にアップして税込みのままなら、「300万÷1.08」で委託外注費が277万7778円となる円に膨らむ。
つまり、実質的な委託外注費を削減できるうえに、消費税の納税額を減らせ、委託を発注する企業にとってはダブルメリットになりかねないのだ。
発注者側が強い立場にあるのは世の常。
2014年4月の8%への消費税アップの際に、「お宅への委託費はこれまでと同じ300万円。消費税も税込みのままで頼むよ」とゴリ押しされても、時として相手が呑まざるをえないことが予測される。
そうなると、発注者にとってのメリットは、そのまま委託先のデメリットに裏返しされる。
委託外注費を下げられたうえに、増えた消費税の分をきっちり国に納めなくてはならない。
これでは“泣きっ面に蜂”である。
また、そうしたケースでは、285万7143円から277万7778円への委託外注費の実質的な減額7万9365円分だけ、委託・外注で働いた人の手取り額も目減りする可能性がある。
消費税という外的要因によって外注先や派遣社員などが冷遇される事態は許されない。
その意味でも、消費税は正しく転嫁される必要がある。
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委託外注費 -消費税増税で外注や派遣が増えるナゾ
PRESIDENT 2014年1月13日号 柴山政行 公認会計士・税理士
https://president.jp/articles/-/12080
■賃金の4割ピンハネ。なぜ人材派遣会社の中間搾取は許されている?労働基準法をすり抜ける悪魔の雇用システム=神岡真司
まぐまぐニュース 2021年12月28日
https://www.mag2.com/p/money/1142137
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・労働基準法で禁じられているはずの「労働者派遣事業」
「人材派遣」などと称して労働者の賃金を3~4割も抜いて儲ける、本来は労働基準法で禁じられていたはずの中間搾取を行う労働者派遣事業があります。
政府は、“使い捨て労働者”を求める産業界の要請を受け、1986年に「労働者派遣法」を制定し、当時から「業務請負」と称して偽装派遣を行っていた違法営業の法人を次々と救済したのでした。
当初、表向きは、専門性の高い業務のみの派遣のはずが、実際は抜け道だらけの法改正で、今や雑用業務までやりたい放題になっています。
派遣先にすれば、
・「交通費ナシ」
・「賞与ナシ」
・「退職金ナシ」
・「福利厚生ナシ」
・「社会保険ナシ(今は派遣会社で制度導入した)」
といった労働者ですから、戦前のタコ部屋奴隷労働に先祖返りさせた制度といえるのです。
戦後は「労働基準法・第16条」で、労働者の「中間搾取(ピンハネ)」は禁じられたはずでした。
「何人も法律に基づいて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない」となっていたはずなのです。
この規定に従えば、明らかに労働者派遣業は、「中間搾取」に該当するように思えますが、現実には「派遣元会社は派遣労働者との間で雇用契約を結んでおり、派遣先企業との間では派遣契約を結んでいるので、派遣元会社は、労働基準法・第16条が指す第三者には当たらない」という法解釈なのだそうです。
コジツケもよいところでしょう。
収入の原資は、派遣労働者がもたらしているのですから。
要するに、「法律に基づいて許される場合の外」とあるように、労働者派遣法を成立させたことで、中間搾取が認められるようになったという解釈のほうが、妥当のように思えるのです。
・違法オンパレードの人材派遣業界
驚くべきことに、この業界はスタート時点から違法のオンパレードです。
・「禁止業種への派遣」
・「無許可・無届営業」
・「偽装請負」
・「二重派遣」
・「女子の容姿のランク付け開示」
・「派遣先への履歴書開示」
・「派遣先企業への事前面接(会社訪問の名目で実施)」
・「マージン率の非開示」
こんな悪徳業態の企業が堂々と上場しているのですから、笑止千万といえるのです。
今でも違法だらけの業界ゆえに、何度も法改正が繰り返されてきましたが、実態は変わりません。
いつでも首切り可能――というのが、そもそもの派遣業界の「キモ」なので、大手派遣会社は政治献金や接待供応で与党政治家らを篭絡し、抜け道だらけの法改正で乗り切ってきたからです。
バイトやパート、契約社員など、有期雇用の非正規雇用労働者は、今や労働者の4割近く(2020年:2,090万人)にのぼり、そのうち派遣労働者が占める割合は6.6%(同138万人)を占めます。
・欧米の場合、派遣社員の報酬は正社員を雇うよりも高い
そもそも、労働者派遣という業態は欧米で始まったシステムです。
欧米の企業は、正社員であっても、人種・国籍・宗教などによる差別「以外」なら、従業員のクビを簡単に切ることができます。
日本のように、派遣労働者ゆえに簡単にクビ切りができるシステムとは異なり、正社員であっても、クビ切りが容易なのです。
にもかかわらず、なぜ「派遣労働者」が必要かといえば、専門スキルのある人材を、臨時プロジェクトなどで必要な時だけ、仕事をしてもらう利便性が優先されたからです。
そのため、欧米の場合の派遣社員の報酬は、正社員と同じ仕事なら同額の報酬が得られます。
「同一労働同一賃金」の原則が働くからです。
また、高度な専門スキルがある派遣労働者の場合は、派遣先企業の正社員よりも、はるかに高額の報酬が支払われるようになっています。
そして、派遣会社には、派遣労働者の賃金に上乗せした手数料を払うことになりますから、臨時に派遣労働者を利用すると、正社員を雇うよりも高くつく場合が往々にしてあるのです。
日本の労働者派遣企業の場合は、自社の派遣を企業に受け入れてもらうために、労働者派遣企業同士が競争して、報酬のダンピング合戦が起こりがちです。
そして、そのシワ寄せが、派遣労働者の賃金に及ぶことになるのです。
・3~4割のピンハネ率
厚労省のデータによれば、2018年度の労働者派遣事業の派遣売上高は、6兆3,816億円にのぼっています。
事業所数は約38,000ヶ所です。ピンハネで儲かるので、べらぼうな数になっています。
そして、派遣会社の派遣労働者賃金のマージン率は平均30.4%で、営業利益率は5.9%にのぼります。
業種によっては、5割近いマージン率のところもあるようです。
企業にとっては、賃金の高い正社員よりも、賃金の低い非正規雇用の派遣社員を雇いたがるのは、自明の理です。
これでは、貯蓄もままならない人たちが増えるのも当然なのです。
資本金10億円以上の日本の大企業では、人件費を削りに削って、2020年度には内部留保額が466.8兆円にものぼっています。
内部留保とは、企業の純利益から税金や配当、役員賞与などを引いた残りで、利益剰余金や利益準備金と呼ばれるもので、いわば「企業の儲けの蓄積」です。
アベノミクスの円安誘導もあって、輸出大企業ほど、利益を積み上げてきました。
人件費を削って、タンマリ貯め込んだわけです。
・近い将来「生活保護受給世帯」は激増する
労働者が現役時代に十分に稼げなければ、蓄えもないまま老後を迎えることになります。
厚生年金の支給額も低くなり、それだけ暮らしは苦しくなります。
2018年度の生活保護受給世帯は164万世帯(総額3.6兆円)ですが、半数は65歳以上の高齢者です。
したがって、このまま賃金の低い現役世代が多いままだと、将来の生活保護受給者は、激増間違いないことになるでしょう。
2030年には生活保護費総額が6兆円に及び、2040年には9兆円に及ぶという試算もあるのです。
こうした老後破綻する人の予備軍といえるのが、現在の非正規雇用の現役の人たちであり、派遣労働者たちといえるのです。
日本の賃金は、下がり続けています。
ここ20年間に他の先進国が軒並み2割~3割上昇しているのに日本だけが1割弱も下がっているのです。
おまけに消費税率アップで、可処分所得(自由に使えるお金)も減る一方です。
賃金アップを図るためにも、こうした中間搾取を許す労働者派遣業は禁止すべきなのです。
そして、競争原理で賃金のアップが期待できるように、すべての労働者は一般企業による直接雇用体系にすべきでしょう。
労働者派遣の会社など要らないのです。
諸悪の根源だからです。
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賃金の4割ピンハネ。なぜ人材派遣会社の中間搾取は許されている?労働基準法をすり抜ける悪魔の雇用システム=神岡真司
まぐまぐニュース 2021年12月28日
https://www.mag2.com/p/money/1142137
■人売りIT派遣企業は現代の奴隷制度そのもの
株式会社AXIA 2017.8.29
https://axia.co.jp/2017-08-29
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・自社への帰属意識がなくなってしまう
SESの会社では自分の会社で仕事をすることはほとんどなく、多くの人は客先に常駐して仕事を行うことになります。
客先常駐の現場では他社の人間から指図されることがありますし、自分が他社の人間に対して指示を出すこともあります。
常駐している現場に自社の人間が誰もいないなんてこともあります。
そうすると多くの人が「自分は一体どこの会社の人間なのか」と思い悩むことになります。
これが帰属意識の欠如です。
帰属意識の欠如に関しては、これを経験したことのない人にとっては大したことないように思われるかもしれません。
しかし実際には多くのエンジニアがこの問題で悩んでいます。
自分がどこかの集団に所属しているという感覚は、人間にとっては結構大事な要素のようです。
私自身は初めて配属されたプロジェクトが客先常駐だったのですが、何も知らない私はその場にいるメンバー全員が自社の社員だと思っていました。
「この人達が俺の先輩社員か」と思っていたのですが、15人くらいいたメンバーのうち本当に自社の先輩社員だった人は1人だけでした。w
・勤務場所がどこになるかわからない
SESは自社で開発するのではなく客先に常駐して開発を行いますので、どこのプロジェクトに配属されるかによって勤務場所が変わります。
プロジェクトが変われば当然勤務場所も変わります。
つまりSES企業で働くエンジニアは数ヶ月~数年ごとに働く場所が転々とするのです。
私が新卒で入った会社でも客先常駐スタイルのプロジェクトがありましたが、私は配属されるまでそのことを全く聞かされていませんでした。
新人研修が終了したら当然自分の会社でシステム開発の仕事をすることになると思っていました。
しかし新人研修終了日に配属部署の上司に挨拶に行くと「明日から蒲田に行ってもらうから」の一言。w
当時私は実家の川越に住んでいて就職した会社は秋葉原にありました。
少し遠いですがこの距離なら何とか通えると思っていたのですが蒲田までは無理。
片道2時間以上のコースです。
しかも配属初日から泊まり込みの洗礼を受けるような長時間残業の現場。
配属最初の月から300時間以上の勤務時間になるような現場だったので片道2時間の通勤など絶対に無理です。
当時就職したばかりで引っ越すお金もなかった私は弟(既に就職していました)から50万借金して配属直後に引っ越しました。
その時の現場に近い場所に引っ越したところで、プロジェクトが変わったら今度はどこの現場に飛ばされるかわかりません。
最悪の場合はプロジェクトが変わったタイミングで引っ越しが必要になることもあるかもしれません。
会社の裁量次第でいつどこの現場に飛ばされるかわからないという状況は、労働者にとってはこういうリスクもあるのです。
・どのように評価が行われているか不明
どんな会社であっても従業員の評価を行って給与改定が行われるわけですが、SESのような客先常駐スタイルだとどのように従業員の評価が行われているのか謎です。
何しろ普段同じ場所で働いているわけでも成果の管理がされているわけでもないですから。
アクシアも創業当時に客先常駐の仕事をしていたのですが、私自身はどのように評価すればよいのかわからなかったというのが正直なところです。
社員の仕事ぶりも成果も直接見れないですからね。
幸いなことにアクシアの場合はすぐに客先常駐からは撤退したので「評価をどうやれば良いのか」という問題に長期に渡って直面することはありませんでしたが、直接見てもいないのにどうやって自分達を評価するのか?という現場のエンジニアの不満は大きかったように思います。
長年に渡ってSESをやっている会社がエンジニアの評価をどのように行っているのかは謎ですが、せいぜいエンジニア本人からあがってくる報告書を見て判断するか、長時間残業をしているエンジニアを頑張っていると評価するかではないでしょうか。
SESだと契約の上限時間を超えて働いた場合は長く働けば働くほど売上が伸びますからね。
いずれにしても業務効率上げて短時間で仕事を終えられるように頑張っているエンジニアが不当に評価されて不満を感じることが多いことは間違いありません。
・長時間残業が常態化しやすい
SESで長時間残業が常態化しやすい理由はいくつかあります。
一つはSESという契約の中身です。
SESではエンジニアが働く労働時間を月160~200時間のように上下の範囲を指定して契約書に記載されることが多いです。
仮に月160~200時間だった場合、元請け企業の中には200時間までは追加料金が発生しないのでギリギリまで働かせようという人が出てきます。
受注企業としても上限の200時間を超えた場合は追加料金が売上として入ってきますから、長時間労働化したところであまり深刻に考えて対処などしてくれません。
逆に結構暇な現場があったとしても下限時間の160時間はエンジニアを働かせようとします。
下限時間を下回ると精算されて売上が落ちるからです。
だから下限を下回るくらいまで有給取得しようとすると客先からも自社からも怒られます。
祝日が多い月だと普通に働いていても下限を下回ってしまうことがあるので、その場合はやることもないのに無駄に残業の指示をされて下限時間を下回らないように調整しようとしてきます。
もう一つの理由として、労務管理の責任の所在が曖昧になってしまうということがあります。
普通の会社であれば長時間労働化してしまった場合にそれを改善する責任は当然のことながら自社にあります。
労務管理の責任も権限も自社にあるのだから当然です。
しかし客先常駐の場合は形式上は労務管理の責任と権限が自社にある形式(請負契約や準委任契約)を取りながら、その実態は客先で指揮命令が行われる派遣の形態です。
客先では自社の従業員ではないので例え体調不良で倒れたとしても責任を取ろうとはしませんし、受注した企業としても自社の従業員でありながら派遣してしまっているので管理のしようがありません。
しかも自社と客先の間には何社もマージン搾取する会社が入っている場合もあります。
こんな状況なのでまともな労務管理が行える状態ではないのです。
本来ITによる業務効率化が得意なはずのIT企業で業務効率化が全く進まず長時間労働が当たり前になってしまっている大きな原因と言えます。
・元請け企業のスケジュール遅延のしわ寄せを受けてしまう
本来であれば自分の会社がスケジュール遅延した場合の責任は自社で取ることが当然です。
顧客がスケジュール1ヶ月遅延した場合には、自社の作業着手が1ヶ月遅れるので納期も1ヶ月遅らせることが普通です。
しかし客先常駐の開発の場合はそうはなりません。
客先常駐のシステム開発の現場では、上流工程の遅延は全て下流工程にしわ寄せされます。
上流工程のスケジュールが遅延してもプロジェクト全体の最終納期は変更なしということが当たり前のように起きています。
客先常駐でなくても顧客から無茶なスケジュールの要求をされることはあります。
これを拒否することは結構大変なのは事実ですが、自分の会社の従業員を守るためには毅然とした態度で臨むことは大事です。
しかし客先常駐の場合には無茶な要求を断ることがさらに難易度が上がります。
なぜなら同じ現場で働き、労務管理も元請け企業が行っているからです。
自社の従業員でありながら自社でコントロールすることも許されず、他社の人間の指揮命令のもと言いなりになってしまいます。
・歳を取ると切られる可能性がある