【デジタル植民地日本!GAFAMが狙うのは日本人の「頭の中」!?】GAFAMによる「人類の家畜化」

【デジタル植民地日本!GAFAMが狙うのは日本人の「頭の中」!?】GAFAMによる「人類の家畜化」~日本政府ガバメントクラウドは米アマゾン(AWS)と米Google、なぜデジタル庁は国民データを米国企業に委ねるのか?~














Amazonは日本を植民地にする?商店街を叩き潰したイオンも楽天も駆逐されていく


まぐまぐニュース 2020年2月14日 鈴木傾城


https://www.mag2.com/p/money/891829




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・もはや誰もアマゾンに勝てない?巨大な流通網が日本を飲み込む…アマゾンの売上は9年で3.5倍に




アメリカの巨大ハイテク企業であるアマゾン・ドット・コムは、今まで日本に税金を支払っていないということで大きな問題になったのだが、2018年12月期に約150億円の法人税を納めていたことが分かった。




これは日本にとって良いことなのだが、同時に日本人が考えなければならないことは、「今後はアマゾンはさらにきめ細かく日本に定着していく」ということである。




すでに日本人の消費活動は変化していて、モノを買うのにインターネットのショッピングサイトを経由することが多い。


日本で最大にして最強のショッピングサイトは、すでにアマゾンである。




アマゾンの日本での売上高推移は着実に増え続けており、2010年は4,371億円だったのが、2018年には1兆5,350億円になっている。


9年で3.5倍になっているというのがこの数字を見て分かるはずだ。






楽天はもうアマゾンに勝てなくなってしまった




アマゾンのライバルと言えば楽天だが、楽天の2018年度の決算を見ると、売上高は1兆1,014億円であり、もうとっくに楽天を追い抜いていることが分かる。


強すぎるアマゾンに楽天は勝てるのだろうか。




楽天は本業のショッピングモールである「楽天市場」で躓いている。


2019年1月に楽天はアマゾンに対抗するために「3,980円以上は送料を無料とする」という方策を取ったのだが、送料が無料であるならば出店者が送料を負担するしかない。




通常、送料は価格に転嫁されるのだが、利幅の薄い商品は一気に売れなくなる上に利幅の薄さを数でカバーできる大手に飲み込まれるので、中小の出店者にとっては「死ね」と言われているのと同様になる。




これによって中小出店者は「楽天ユニオン」を設立して、楽天側と激しく対立するような事態になっている。


しかし、楽天側は送料無料化を強行する構えを見せている。




さらに楽天は「楽天モバイル」で新規に進出した携帯電話事業でもサービス開始にトラブルが続出している。




本業のショッピングモールでもトラブル、新規事業でもトラブルに見舞われている中で、楽天はアマゾンに勝てるだろうか。


状況はなかなか難しそうだ。






・イオンはもうアマゾンに勝てなくなってしまった




アマゾンは「アマゾン・フレッシュ」というサービスで野菜、果物、鮮魚、精肉などの生鮮食品を当日に配達するようなサービスも始めている。


場合によっては最短で2時間以内に配達されるような地域もある。




このサービスが仮に成功して広がっていくようになると、アマゾンはいよいよ日本のリアル店舗の大型ショッピングモールをも駆逐していくことになるはずだ。




今、日本のリアルのショッピングモールの雄は「イオン」である。


イオンはアマゾンに勝てるのだろうか。結論から言うと、イオンは今のままではアマゾンにどんどん侵食され、最終的にはアマゾンに駆逐される可能性が高い。




なぜか。


すでに、イオンは本業のショッピングモール事業で儲からない体質になってしまっているからである。




イオンは「イオンモール」や「マックスバリュ」事業が柱になっているはずなのだが、肝心の「イオンモール」は赤字転落している。


マックスバリュ」も営業利益はたった28億円でしかない。




イオンが何とか助かっているのは「イオン銀行」などの金融事業が利益を出しているからである。


しかし、「イオン銀行」が今後は都市銀行なみに事業になっていくのかどうかは疑問でもある。




イオンはしょせん「小売り事業者」でしかなく金融業者ではない。


イオンモールのユーザーにイオン銀行に入らせることはできたとしても、それ以外の消費者にイオン銀行に入らせる魅力は備えていない。




そもそも、フィンテックの台頭で銀行のビジネスも激動期に突入している中で金融事業が柱になっているのだから、かなり危うい事態になっていると見ることができる。




そんな中でリアルな店舗を持つイオンはアマゾンの大攻勢を受けるのである。


アマゾンに勝てるのだろうか。


すでに本業で赤字になっているイオンは、ここから挽回するのはかなり厳しそうだ。






・商店街を叩き潰したイオン。今度はアマゾンに追われる立場に…




イオンはかつて町の商店街を叩き潰してシャッター通りにしてきた張本人である。


地方都市の多くは商店街が寂れてイオンモールに客を奪われた。


しかし、今度はそのイオンが赤字を抱えてにっちもさっちもいかなくなってきた。




特にイオンモールは地方で閉店が相次いでいるのだが、地方はこれから人口がさらに減っていく上に、残った人口も高齢化するので売上を上げるのは難しい状況になっていく。


努力しても集客ができないのである。




集客ができないのであれば専門店も入らず、不動産事業で儲けることすらもできない。


アメリカでも地方の巨大なショッピングモールがどんどん閉鎖されてゴーストタウン化しているのだが、同じことが日本でも起こってきていると言うことだ。






・巨大な流通網が日本を飲み込む




そして、そんな変化の中でアマゾンはどんどん地方を攻略し、消費者を貪欲に取り込んでいる。




アマゾンのインターネットのショッピングサイトは都市だろうが地方だろうが関係なくアクセスできる。


注文すれば、後は流通の問題だ。




アマゾンは流通の重要性をよく理解しており、流通にもイノベーションを起こそうとしている。


いずれは日本でもアマゾンの無人自動車が走ったり、ドローンでの拠点から拠点への配達も一般化することになる。




流通網をアマゾンが構築してアマゾンが一手にそれを握ると、もはや日本の「買い物」はアマゾンが支配することになっていくはずだ。


もちろん、イオンもインターネットサイトの重要性は分かっているはずだが、アマゾンに匹敵する堅牢で強固なサイトを構築することは、やはり本業ではないのでなかなか難しい。




そんなわけで、日本はアマゾンという巨大な企業の植民地になっていく流れができあがっているようにも見える。




今後はさらにハイテク企業の影響力は増していくのだが、日本を支配するハイテク企業は日本企業ではなくアメリカ企業である。


アマゾンもまた日本を支配することになるだろう。




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Amazonは日本を植民地にする?商店街を叩き潰したイオンも楽天も駆逐されていく=鈴木傾城
まぐまぐニュース 2020年2月14日
https://www.mag2.com/p/money/891829


















■これではデジタル植民地、デジタル庁は国民データを米国企業に委ねるのか


日経クロステック 2022.03.10


https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00166/030700098/




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霞が関が米国のパブリッククラウドを使うのは駄目だが民間企業ならよいのでは、とおっしゃいますが、当の霞が関が国民のデータを米国クラウドに置こうとしています」




つい最近、ある仕事をしていて、米国企業が運営するパプリッククラウドサービスに日本企業のデータを置くことの是非を巡って情報セキュリティーの専門家と話し合った際、こう言われて遅まきながら驚いた。




議論の対象となっていたのは個人のデータ、あるいは個人が特定される可能性があるデータである。


専門家が「個人に関わるデータを載せたいなら国産クラウドを選ぶほうがよい。




米国企業のクラウドではたとえデータを保存するデータセンターが日本国内にあったとしても米国政府の要請に応じてクラウド会社がデータを米国政府へ開示するリスクがある」と言った。




確かに2018年に成立した「Clarifying Lawful Overseas Use of Data Act」、いわゆる「CLOUD Act」に基づいて米国政府は米国内に本社がある企業に対し、米国外に置いているデータについても開示要求が出せる。




国産クラウドを推すかのような専門家にこう言った。


「米国のパブリッククラウドの肩を持つわけではないですが、CLOUD Actによる問題は民間企業の場合ほとんど起きないのでは。米国と日本が戦争をしたら別ですが。霞が関が米国のパブリッククラウドを使ってよいのか、とは思いますが、民間の場合致し方ないかと。扱うデータの機微度によって匿名加工をするとか、バックアップを国産クラウドか社内に持つといった備えは要るでしょうが」




これに対する専門家の応答が冒頭の発言である。


かつて日経コンピュータの編集長を務めたこともあったのに、なんとも恥ずかしいことだが、政府や地方自治体が使うガバメントクラウドの調達先としてデジタル庁が2021年10月、米Amazon Web ServicesAWS)と米Googleの2社を選んでいたことを知らなかった。


「遅まきながら驚いた」と書いたゆえんである。




AWSGoogleも米国企業である。


繰り返しになるが、2社のパブリッククラウドに日本国民のデータを置いた場合、たとえ2社の日本国内にあるデータセンターを使ったとしても、米国政府はAWSGoogleに命じて、日本の国民データを開示させることができる。




契約や運用で日本の国民データが米国政府に開示される危険を抑えられるのか。


日本企業が米国クラウドを使う場合、日本国内にあるデータセンターを必ず使う、米国のクラウド事業者と個別に契約し紛争時の裁判所を日本側にしておく、データを暗号化して解除キーは日本側で管理する、といったやり方がある。




だが技術面の対策をどうするか、という話ではない。


日本政府が日本国民のデータを率先して米国のパブリッククラウドに載せる、といった政策の是非が問われる。


民間企業が一定のリスクをとって米国クラウドを使う話とは全く違う。




ちなみに米国政府はパブリッククラウドを積極活用する動きを見せているがクラウド事業者は米国企業である。


“データ主権”を唱え、個人データの保護を強めるEU諸国の政府は住民データの保存に米国のパブリッククラウドを使っていない。




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これではデジタル植民地、デジタル庁は国民データを米国企業に委ねるのか
日経クロステック 2022.03.10
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00166/030700098/





















■斎藤幸平×堤未果「デジタル植民地化」から日本を守る方法


GAFAMが狙うのは「Z世代の頭の中」シリコンバレーの技術者が子供にスマホを持たせない納得の理由


プレジデント 2022.06.20


https://president.jp/articles/-/58800




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・GAFAMの主要ターゲットはZ世代






【斎藤】危機状況といえば、「資本主義の微修正でいけるのだ」と思いたい中高年世代とは違い、不況続きの私の世代くらいになると、もはや資本主義の永遠の経済成長への憧れはほとんどない。その意味では、私よりさらに一回り下のZ世代の価値観に最近は注目しています。




【堤】今までの続きでなく、根本から新しい価値観を作り出せるZ世代ですね。




【斎藤】今の若い世代は、経済的に苦しい状況にあります。日本のガラパゴス化なんていいますが、アメリカへ留学する学生の数も減っている。教員として大学生を見ていても、僕らの時代以上に「経済的に留学できない」という声はよく聞きます。さらに、そこにコロナと円安です。より海外は遠ざかり、見分を広める機会も減少しています。




【堤】斎藤さんは、ドイツ、フランス、アメリカとさまざまな土地で学ばれてきたんですよね?




【斎藤】非常に幸運でした。やはり土地が変われば、経済も人間も変わります。ベルリンなら豊かに暮らせるお金を持っていても、ニューヨークでは食べていくのがやっと。
だから、ニューヨークの投資銀行に入った大学時代の同級生は、稼ぎのことばかりを考え、同僚と競争しながら、街の速度に合わせるように必死に働いていた。一方、ベルリンは、日曜はすべてお店が閉まるくらいのんびりしている。けれど、週末はみんな公園でビールを飲んだり、仲間と議論したり、デモに参加したり。どっちが幸せかといえば、やっぱり後者じゃないかと(笑)。




【堤】うふふ、いいですねドイツ(笑)。そうやって五感を使って体験した記憶って貴重ですよね、時間が経つほどその効力を発揮する。頭だけでなく体感で覚えたことは忘れないし、自分の中のステレオタイプを壊しやすくしてくれるんです。
斎藤さんの経験もすてきだし、たとえ今のZ世代が海外に出られなくても、国内で全く文化の違う相手とリアルで接する機会を持つことには、大きな価値があると思います。
デジタルテクノロジーの進化で、「これからは家の外に出なくてもいろいろ体験できるようになりますよ」と宣伝されていますが、私は逆にZ世代には、「身体で体験することが、後で必ず宝ものになるよ」と伝えています。
ちなみにGAFAMの主要ターゲット層は、Z世代の若者です。それは思春期の、まだ感情や自己肯定感も不安定な時期に、スマホを通して彼らの感情や思考、健康状態や食の好みや政治観まで、データを収集して、ある種の方向に誘導もできるなど、ビジネスとしての利用価値がとても高いからです。若いうちからオンラインにいる時間が長ければ長いほど、ネット依存度も高くなるので、その分回収できるデータも膨大になる。Z世代の頭の中は言ってみれば富を生み出す「巨大なマーケット」なんです。






シリコンバレーの技術者たちの後悔




【斎藤】今の若い世代は、望むと望まざるとにかかわらず、FacebookInstagramなどで常に他人との比較の中で生きています。いまさら日常生活からスマホやデジタル機器をなくすことも難しいですしね。




【堤】ええ、なくすどころか技術の進化で、デジタル機器は近い将来彼らの身体に埋め込まれるようになるでしょう。問題はデジタル機器そのものではなく、いかにその全体像を把握して主体的に使うかどうか、の方なのです。幸いSNSが若者のメンタルに与える危険については世界でもかなりデータが出てきているので、それだけでも知っていると知らないのとでは、大きく違ってくるでしょう。
一昨年アンデシュ・ハンセンの『スマホ脳』(新潮社)がベストセラーになりましたが、そのずっと前から、シリコンバレーの技術者からは「とんでもないものを作ってしまった」と懺悔の声が上がっていました。彼らは自分の子どもはデジタルフリーで育てています。
あれはれっきとした依存症ビジネスなので、大人でも自分の意思だけでやめるのは難しいですよ。実は私も、散々このテーマを取材してる癖に、全然人のことは言えず……執筆をしていたはずが、気がつくといつの間にか猫グッズのサイトに……(笑)






・中国や韓国で進む「スマホ脳」対策




【斎藤】まぁその点は、僕の脳みそも同じです(笑)。Twitterとかよく見ちゃうので、深く反省します……。実際、デジタルは中毒性と非常に親和性が高く、人間の注意、意欲、集中力をとことん吸い尽くすように緻密に計算されています。
「資本主義」や「民主主義」が大きな壁にぶち当たり、これから人類がどういう道を模索していけばいいのかを考えねばならない時代に、おりしもスマホ脳的現象で、「考える力」が奪われてしまっているのは、悲劇的です。




【堤】ええ、本当に。「考える力」をこれ以上奪われっぱなしにしないために、この悲劇的状況を私たち大人が重く受け止めて、一刻も早く行動を起こさないといけません。
新しい技術についてはいつも、時差があるものです。開発者側の語る利便性や夢の未来のような理想が先に拡散されて、リスクが問題になるのはずっと後ですよね。ハンセン博士の「スマホ脳」が騒がれたのも、日本にiPadが上陸してから10年も経ってからでしょう? 開発者のジョブズは2010年のインタビューで、自分の子にタブレットを持たせない、とはっきり言っていたのに。
でも、Z世代や子供たちに関しては10年後20年後に出る影響が、彼らの人生だけじゃなく国の未来も変えてしまうので、そうも言っていられません。同じアジアでも中国や韓国では、すでに国を挙げて対策を打っています。




【斎藤】一方で、まだ私たちの考える力がすべて奪われてしまっているわけではないと信じています。






・「考える時間」を見つめ直すチャンス




【斎藤】例えば、『人新世の「資本論」』(集英社新書)は決して内容的にも簡単ではなかったにもかかわらず、予想を大きく上回る人に読んでもらえました。それはコロナ禍という特殊な状況も影響していたと思っています。
リアルな付き合いが激減し、生活がスローダウンすることで、人々が自分一人で考える時間が増えたからです。




【堤】パンデミックが結果的にもたらした良いことの一つはそれですね。グローバリズム信仰で効率や利便性を追求した果ての社会が、どれだけ脆弱ぜいじゃくだったかも一気に露呈して、皆がそれぞれ、考え直すチャンスがきた。
早ければ早いほどいい、便利なほど快適、と思っていたことが、立ち止まって考えてみたら、実は自分の心身に結構負担になっていたことに気づいたという声も少なくないですね。
本というのは、世の中に出るタイミングも含めてお役目を持っているんです。今だからこそ、斎藤さんが投げかけた「脱成長」や<コモンズ>、「持続可能な地球」といった大事なキーワードが、平時よりもずっと深く響いたのではないでしょうか。




(中略)




・日本は自前のプラットフォームをつくれるか




【斎藤】ただ日本の状況を考えたときに、難しいのは、やはり規模感ですよね。現在、積極的にGAFAMに規制をかけようとしているEUは、経済圏も大きく、各国が足並みをそろえ、大きな対抗勢力となっています。
中国もやはり10億人市場だから、自分たち独自のプラットフォームを作れる。しかし、人口1億人という小規模市場の日本が、どれだけGAFAMに代わる自前のプラットフォームを作れるかというと、かなり厳しい。




【堤】国民の発信媒体に関してはGAFAM以外の検索エンジンなどまだ選択肢はありますが、デジタル庁など行政サービスに関しては、利便性やスピードより「セキュリティー」が最優先されるべき部門なので話が違いますね。
全国民のデータを扱う省庁なのに、機能や利便性で追いつこうとするあまり、「デジタル安全保障」という意識が薄いのではと思わずにいられません。
今後社会のあらゆる面がスマート化する中で、国産が遅れてるから手っ取り早く外国企業に委託、ITに強い外国人を民間から採用しましょうという、今までのような「外注思考」を、国家と国民の重要データを扱う公共部門に入れることの意味を、よく考える必要があります。食とエネルギーを外国に依存している国に、コロナやウクライナ有事で一体何が起きたでしょう?
世界はすでにデジタル植民地の時代に突入しています。今の日本には、デジタル時代の安全保障の重要性を理解し、サーバー主権について徹底的に議論し、外資に委託する際の有事リスクへのセキュリティー対策や、国民に対する透明性の確保、そしてたとえ時間がかかっても国の重要インフラには、人と技術に投資すべきだと考える政治家が必要でしょう。






・「自由」はどこまで残せるか?




【斎藤】アメリカはそれで儲けることができるけれども、GAFAMをいくら導入しても日本経済は豊かになりません。広告料や利用料もどんどん吸い上げられて貧しくなっていきます。




【堤】ええ、そうやってサービスと引き換えに無料で提供している個人データが実は巨大な資産であることを、私たち国民もしっかり意識しなければなりません。
Microsoft Teams、Google Meet、Zoom、LINE……、日本の教育界や経済界、医療現場や福祉現場、政府や自治体で、安易に使われている海外系サービスが吸い上げた国民の個人情報が、今後どう扱われるかが重要であること、あのデータはあなたたちの大事な権利なのだと、今のうちに子供たちに教えておかなければなりません。
日本でも今後私たち国民の金融情報、個人情報、健康情報、知能情報などが一元化されてマイナンバーカードに組み込まれていきます。そうなったとき、果たして国民にどの程度の「自由」が残されているのか? ラッキーなことに、世界を見回せばすでにいくつもの国が似たような制度を導入していますから、今のうちに彼らの失敗例と成功例をみて日本は上手に良いとこどりをしてゆけばいいのです。






・民主主義の将来像




【斎藤】経済的利便性や、国家的利便性はいったんわきに置き、どのような社会を私たちは今後作っていきたいのか。ビジネスの第一線で働く方々だけでなく、高齢者や、女性、若い世代や外国人、あらゆる視点や立場をとりいれて考えるべきですね。




【堤】まさに、それこそが政策決定プロセスにおける民主主義の本質ですね。存在感を高めた台湾が、あえて若い世代と高齢者に政策提言をさせているように、日本でもビフォアデジタルに生きてきた高齢層が、Z世代に託せる財産が実は思った以上にたくさんあるんですよ……という本が、ちょうどもうすぐ書き上がるところです!
デジタル化のすてきなところは、これが、誰もが立場や条件に関係なく「当事者」になれる歴史的シフトだということでしょう。
おまかせではなく「当事者意識」を持った時、私たちはスマホ脳で自動運転になってしまった「考える力」をとり戻し、自分たちの手で未来を変えていくことができるからです。




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斎藤幸平×堤未果「デジタル植民地化」から日本を守る方法
GAFAMが狙うのは「Z世代の頭の中」シリコンバレーの技術者が子供にスマホを持たせない納得の理由
プレジデント 2022.06.20
https://president.jp/articles/-/58800














GAFAによる「人類の家畜化」を止めるのは誰か


人間はすでに「大切なモノ」を奪われつつある


東洋経済オンライン 2019/07/04  泉美木蘭


https://toyokeizai.net/articles/-/289479




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「痛くない歯医者は?」「おいしいパスタ屋は?」「タケノコの茹で時間は?」――手元のアイフォンをつついて質問すると、すべてグーグルからひとまずの答えが返ってくる。




実家に住んでいた頃は、医者も飲食店も家族や友達から聞いたり、日頃の会話の中でなんとなく情報として仕入れたりしていた。




料理の作り方は、田舎の母に電話すれば喜んで教えてくれるはずだし、ついでに口やかましくあれこれ言われて面倒に思う反面、日常の緊張感がほどけて電話を切るときには少し気が楽になっていたりもする。


当初の目的以上の広がりがそこにはあったのだ。




ところが今や、必要なのは「回答」だけ。


人と話すよりグーグル直行、誰かと会話している最中ですら、「あれ、何だっけ?」と記憶につっかかるや、考える間も迷う間もなく反射的にスマホに手をのばしている。




そういう仕組みの世界に組み込まれてしまった以上、もはや抗うのは難しいが、この行動パターンは忌むべき安直さだと自覚している。


そして不安になるのだ。GAFA――グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン――自分はこれら巨大IT企業が用意した枠のなかにはめ込まれ、「必要なものだけ」を与えられている家畜みたいなものなのではないか、と。






・「知りたい」を奪うグーグル、「欲しい」を奪うアマゾン




スコット・ギャロウェイ著『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』によれば、アマゾンは「1兆ドルに最も近い巨人」、アップルは「ジョブズという教祖を崇める宗教」、フェイスブックは「人類の1/4をつなげた怪物」で、グーグルは「全知全能で無慈悲な神」という事態であるという。




なかでもGAFAがその破格の成功を収めた一因を分析する第7章「脳・心・性器を標的にする四騎士」では、私が自覚する「安直さ」が見事にカモにされていたことがよくわかる。




例えばグーグル検索は、毎日地球上の20億人から、35億回もの質問をされ続けているという。


その規模もさることながら、人々がほぼ無意識的、反射的にグーグルに直行するという状態を作り出すことによって、もはや「調べたい」「知りたい」という人間の意思に基づく脳内の欲求すら奪い取ろうとしているように見えるのだ。




「自分では理解していないけど、ググレばわかる」「自分の記憶力や思考力は怪しいけど、検索すれば大丈夫」……こんな感覚がどこかに棲みついていないだろうか。


最初は便利な道具の1つとして手に取っていたものが、使い慣れるにしたがって、まるで自分を構成する器官の一部のようになり、手放せなくなっていく。


自分の脳よりも、一企業のサービスに絶対的な信頼を置いて重要視しているのだ。




しかし、そのサービスが人間に与えているのは、「依存」と「堕落」である。


いや、「退化」かもしれない。


グーグルは、人間から「自分の脳を使う」手順を省略させて、その脳に成り代わっているのである。




欲しいもの、食べたいもの、行きたい場所、政治思想、異性との悩みなど日々あらゆることをグーグルに向かって送信し続けていると、それに応えるべく出現するのがグーグルアドセンスやアマゾンの商品リンクだ。


次から次へと「欲しいのはこれだろ?」「これが欲しいなら、こっちも欲しいはず」と突きつけて、物欲を捨てさせないよう誘惑し続ける。




スマートスピーカー「アマゾン・エコー」のCMに、ママの誕生日を祝うためにケーキ作りに奮闘する幼い息子とパパを描いたものがある。


ご存じの方も多いだろう。




パパは「アレクサ、キッチンペーパー注文して」「アレクサ、ライト消して」など次々とアマゾンのAIを自分の手足として使っていく。


感激しながら息子を抱きしめるママのために「アレクサ、ハッピーバースデー歌って」と命ずるシーンには「そこは自分で歌わんかい!」とママからのツッコミが欲しいところだが、どうやらこのアマゾン・エコー、クリックなしの完全自動注文へと人々を誘導する布石でもあるようだ。




自分が「欲しい」と思ったものを、自分で選んで注文し、届くのを待つ。


それがネット通販だが、ギャロウェイ氏によれば、アマゾンは消費者の「意思決定」や「注文」という作業なしに、物質的な欲求を自動的にすくい上げ、満たしてしまう未来へと向かっているという。




今はアレクサを介してキッチンペーパーを注文していても、それを繰り返すうちに、この家庭がどのくらいの頻度でキッチンペーパーを消費するのか、その購買パターンがビッグデータとともに分析可能になっていくというのだ。




すでに日替わりで弁当や冷凍パックの食事を配達する宅食サービスはあり、高齢者や産前産後などで買い物が難しい家庭などに利用されているから、生活必需品から衣料品まであらゆるものを自動注文化し、アマゾンプライム会員に手軽に利用させることは技術的にはそう難しくないのだろう。




やがてアマゾン・エコーで家族の会話を聞いて、必要と思われるものを勝手に届けたり、好きそうなデザインの洋服を何点か送ったり、「こんなのいらない!」と言えば返品用の箱を届けたりということも考えられる。




以前、データ入力業の方から、スマホ音声認識に話しかけられた音声データを文字起こしするという仕事について話を聞き、そんなふうに音声が抜かれているのかと驚いたが、スマートスピーカーも当然、その家庭内での音声はデータとして精度を上げるべく分析されているはずだ。