ウクライナの挑発で全面戦争に誘導されるロシア、背後で笑う米国の思惑とは~トランプ氏、プーチン大統領称賛、親ロ派地域の独立承認「天才的」~

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■トランプ氏、プーチン大統領称賛 親ロ派地域の独立承認「天才的」

日本経済新聞 2022年2月24日

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN2351J0T20C22A2000000/


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トランプ前米大統領は22日、ロシアのプーチン大統領によるウクライナ東部の親ロシア派地域の独立承認を「天才的だ」と米ラジオ番組で称賛した。


同地域へのロシア軍派兵も「最強の平和維持軍になる」と語った。

米紙ワシントン・ポストが伝えた。


トランプ氏は、プーチン氏がウクライナに攻め入って平和を保つと述べ「とても抜け目がない男だ」と指摘。

自分が米大統領であれば侵攻の動きは「起きなかった」と主張した。


これに対し、サキ米大統領報道官は22日の記者会見で「プーチン氏や彼の軍事戦略を称賛する者の助言は聞かないようにしている」と切り捨てた。


トランプ氏は2018年にプーチン氏と首脳会談を行った後、16年米大統領選でのロシア疑惑を巡ってプーチン氏に肩入れするような発言をするなどして、たびたび融和的だと批判されている。


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トランプ氏、プーチン大統領称賛 親ロ派地域の独立承認「天才的」
日本経済新聞 2022年2月24日
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN2351J0T20C22A2000000/

 

 

 

 

本日は3つの記事をご紹介いたします。


2つ目の記事はこちらです。

 

 

 

 


ウクライナの挑発で全面戦争に誘導されるロシア。背後で笑う米国の思惑とは

MONEY VOICE 2018年12月2日 高島康司

https://www.mag2.com/p/money/592378


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アゾフ海におけるウクライナ海軍艦艇の拿捕


11月25日に発生した黒海近郊のアゾフ海におけるロシアとウクライナの衝突について解説したい。

これは下手をすると、両国の全面戦争にまで発展する危険性を内包した事件だ。


日本でも報道はされているものの、さほど大きな扱いにはなっていないので、まずは事実から確認したい。


25日朝、ウクライナ海軍の小型砲艦「ベルジャンスク」と「ニコポル」、曳航艇「ヤナ・カパ」は、黒海オデッサ港からアゾフ海マリウポリに向かっており、アゾフ海の入り口にあるケルチ海峡を航行するところだった。


アゾフ海はロシアが2014年3月に併合したクリミア、ロシアと敵対関係のウクライナ、そして東部ウクライナの独立派を支援しているロシアの3つの地域に挟まれた海域である。

ロシアはアゾフ海が自国の排他的な海域であることを強く主張し、ロシアによるクリミア併合を認めないウクライナも同様の主張を行っている。


ケルチ海峡には、ロシアとクリミアを陸路でつなぐためにロシアが建設した大橋がある。

アゾフ海が自国の領海であることを主張するロシアは、この大橋にタンカーを停留させ、ケルチ海峡を封鎖していた。


ウクライナ海軍の艦艇はこの封鎖を突破しようとして、ロシア連邦保安局(FSB)の監視船に体当たりしたが、逆に監視船から発砲され、3隻が拿捕された。

ウクライナ海軍は、ロシア側が曳航艇に体当たりし、艦艇の進行を阻止しようとしたと説明している。


このとき、ウクライナの発表では6名の乗組員が負傷したとされている。

ロシアの発表では、負傷者は3名だったという。

 

・ロシア批判の大合唱と紛争のエスカレート


一見するとこれは、比較的に些細な事件で、ロシアとウクライナの交渉で早期に解決するように見えるが、事態は深刻である。


アメリカを中心とした欧米諸国による御定まりの激しいロシア非難の大合唱になっている。

3隻のウクライナ艦艇への攻撃と拿捕は、海軍艦艇であっても領有権が主張されている海域の自由な航行権を認めている国際法にロシアは違反したとして、ロシアを厳しく非難した。EUの主要メディアも同じ論調の報道である。


そうしたなか、アメリカの要請で国連安全保障理事会が開催されたが、ロシアとウクライナの相互の批判で終わった。

その席上、アメリカのニッキー・ヘイリー国連大使は演説し、ロシアとの関係改善は不可能であるとした。これはホワイトハウスの見解を反映しているという。

 

ウクライナ戒厳令発令と全面戦争の可能性


そうしたなか、ウクライナのポロシェンコ大統領は軍と情報機関の権限を最大限強化することを内容とした戒厳令を発令した。


有効期間は30日だ。

ポロシェンコ大統領によると、ロシア軍が地上戦を準備しているための対応だとしている。


さらにポロシェンコ大統領は、ウクライナのテレビとのインタビューで、ウクライナ国境に接するロシア軍の基地では戦車部隊などの大規模な増強が見られるので、ロシアとの全面戦争が迫っているとの見方を明らかにした。

今回のケルチ海峡の衝突が、規模の大きい戦争の引き金になるということだ。

 

アメリカとウクライナによる誘導


これが、日本を含めた欧米の主要メディアの報道だ。

国際法を無視してウクライナを攻撃し、全面戦争さえしかねない国としてロシアを強く非難する論調だ。


トランプ大統領も強い不快感を表し、11月30日にアルゼンチンのブエノスアイレスで行われるG20のサミットでは、予定されていた米ロ首脳会談の中止を示唆している。

しかし、このケルチ海峡における今回の衝突を詳しく見て見ると、これはアメリカとウクライナによって計画的に誘導されて引き起こされた事件である可能性が極めて高いことに気づく。


これは、ロシアを挑発し、より規模の大きな戦争を引き起こして、ある特定の目的を実現するために画策された事件であると見ることができる。


当メルマガでは、2010年12月に北アフリカチュニジアから始まり、中東全域に拡大した「アラブの春」や、2004年から2007年ころにかけて中央アジアの旧ソビエトの共和国で広まった「カラー革命」のような民主化要求運動が、米国務省によって準備され、仕掛けられた事件である事実を詳しく紹介してきた。


アゾフ海ケルチ海峡における今回の衝突も、同じように仕掛けられたものである可能性は大きい。

 

・2003年の取り決めと、9月の航行


このように言うと、なんの根拠もない陰謀論ではないかとの印象を持つかもしれない。


しかし、ロシアやウクライナの英語メディアなどから情報を集めると、やはりこの事件の背後には、ロシアとの戦争を画策するアメリカやウクライナの計画があると言わざるを得ないのだ。

確かに国際法からすると、海軍の艦艇であっても海峡通過などの平和的な目的であれば、どの国の排他的な海域であっても、事前通告なしに通過できることになっている。


1989年、当時のソ連アメリカはこの取り決めを明確化し、それが現在の国際法になっている。

その意味では、ウクライナ海軍の艦艇はケルチ海峡を自由に通過する権利があるので、それを攻撃し拿捕したロシアは非難されてしかるべきだと見える。


しかし、旧ソビエトが解体し、ウクライナが独立してからは、アゾフ海の領有権が問題となった。

そして2003年の両国の取り決めでは、アゾフ海はロシアとウクライナ両方に帰属する海域となった。


この取り決めで重要なことは、両国の船舶がケルチ海峡を通過するときの規則が定められたことである。

ロシアもウクライナも、自国の船舶が通過するとき、クリミア、ケルチ港の当局に事前に連絡し、通過する旨を伝えることになっているのだ。


この2003年の取り決めはクリミアがロシアに併合された現在も生きており、両国はこの規定にしたがって海軍艦艇を含む船舶の海峡通過を処理してきた。

事実、今年の9月にはウクライナ海軍の艦艇がこの規定に従い、問題なく安全に通過している。


海峡を通過するとき、ロシア安全保障省の係官がウクライナの艦艇に乗り込み、水先案内をしている。

ロシアは今回の攻撃の発端となった海峡通過が、ウクライナ海軍による事前通告なしに強行され、それはロシアを挑発する意図のもとになされたとウクライナを非難している。


もし2003年の取り決めがいまも生きているとすれば、今回はウクライナがこれをあえて無視したということになる。

 

アメリカとウクライナの共同声明


このように見ると、今回の事件は偶発的なものではなく、ウクライナがロシアとの緊張を高めるために意図的に引き起こした事件である可能性が高い。


だとしたら、その目的はなんだろうか?

実はこの目的を明確に示す文書が米国務省から公開になっている。


それは、11月16日のマイク・ポンペオ米国務長官ウクライナのパヴロ・クリムキン外務大臣との間で合意された「アメリカーウクライナ戦略的パートナーシップ」の共同声明であった。

そこには、「安全保障とロシアの攻撃に対抗する」という項目があり、そこには次のように書かれている。


アメリカは、黒海アゾフ海、そしてケルチ海峡における国際的な船舶の、ウクライナの港に向けての航行に対するロシアの攻撃的な行動を非難する。アメリカとウクライナ両国は、ロシアのアゾフ海における攻撃的な行動が、アゾフ海黒海地域において、安全保障、経済、社会、そして環境に対する新たな脅威となっていることを強調する」


このように、黒海アゾフ海におけるロシアの脅威を主張するとともに、以下のようにもある。

アメリカとウクライナ両国は、ウクライナとロシア国境を含む、ロシアのコントロール下にあるドンバスに、国連決議に基づく強力な国際部隊を配備することこそ、「ミンスク合意」を実行するための安全保障上の条件になると決定した」


これは、いまウクライナからの分離独立を目標にしてキエフ中央政府と戦闘状態にある東部のドンバスやルガンスクの地域に、国連決議に基づいた国際部隊を展開するということだ。

ドンバスは11月11日に選挙を実施して首長と議員を選んでおり、独立した政府樹立の動きを加速させている。これはこの動きを押さえ込む目的もある。

 

ウクライナによる全面戦争の挑発か


このように見ると、ケルチ海峡通過にともなうウクライナ軍艦艇の攻撃と拿捕は、ロシアを挑発して戦争を引き起こし、これを口実にして東部ウクライナに強力な国際部隊を展開する目的がある可能性が高いと思われる。


ウクライナのポロシェンコ大統領は、ロシアとの全面戦争もあり得るとしていま戒厳令を敷いているが、おそらくこれは本気なのだろう。

これから本気でロシアとの全面戦争を仕掛け、それにアメリカに支援されたNATOの国際部隊をも巻き込む構えなのではないだろうか。

 

・東部の親ロシア地域に


これを実現するための重要なステップとしてウクライナ政府が計画しているのは、東部の親ロシア派が支配している地域の沿岸に軍港を建設することである。


もしこの軍港ができると、アメリカを中心としたNATO軍がウクライナ海軍とともにこの軍港に展開することになるだろう。

すると、NATO軍がアゾフ海の領有権を奪還を目指して、ロシア軍と全面的に対峙することになる。


NATO軍とロシア軍との間に万が一戦闘が始まると、欧米のメディアは国際法を無視したとしてロシア非難の大合唱になるだろう。

そのようにして、2014年以来続いているウクライナ内戦を一気に終結させて東部ウクライナを再併合すると同時に、ロシアが併合したクリミアを奪還するという計画だ。


今回のケルチ海峡の事件は、こうした目標を実現するために意図的に準備された、最初の引き金なのかもしれないのだ。

 

・ロシア政府高官の発言


ケレチ海峡の衝突が発生する少し前、ロシア政府の高官はこれからの状況の悪化を示唆する不気味な発言をしている。


10月28日の英紙「エクスプレス」によると、今月、国連総会第一委員会に出席したアンドレイ・ベロウソフ大統領補佐官は、「ロシアが戦争準備をしている」という米国の指摘に対し、そのことを認めて以下のように発言した。


「ロシアは戦争に“向けて”準備しているが、米国は“戦争の”準備をしている。そうでなければ、なぜアメリカは『中距離核戦力全廃条約(INF)』から離脱し、核潜在力を高め、新しい核ドクトリンを採用するのだろうか?」


これはちょっと分かりにくい発言だが、要するにアメリカはロシアを攻撃する戦争の準備をしているが、ロシアはアメリカの攻撃があることを想定し、それに向けた準備をしているということである。

 

・これから起こる一触即発の危機


このように見ると、これからロシアとウクライナの全面戦争が始まってもおかしくない状況になるのかもしれない。

ロシアとウクライナの間で起こった今回のケルチ海峡の衝突は、その始まりを予告している。


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ウクライナの挑発で全面戦争に誘導されるロシア。背後で笑う米国の思惑とは
MONEY VOICE 2018年12月2日 高島康司
https://www.mag2.com/p/money/592378

 

 

 


最後、3つ目の記事はこちらです。

 

 

 

 

■85歳以上の日本の「長老」たちが不戦を掲げて立ち上がったワケ

ハーバー・ビジネス・オンライン 2020.08.25

https://hbol.jp/pc/226626/


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・最後の戦争世代が不戦の訴え

 

8月12日、都内で「東アジア不戦 推進プロジェクト」の提言を発表する記者会見が行われた。

提言者には、各界を代表する85 歳以上の有識者たちが「長老」として名を連ねた。

彼らが掲げた提言は次のようなもの。

 

《提言の内容》

1:東アジア全首脳の共同宣言

 私たちは、戦争時代を直接体験した最後の世代に属する者として、まずもって東アジアの全首脳が次のような共同宣言、又は個別同時の宣言を発出することを提言する。

 (1)あらゆる対立を超えて人類全体の連帯を図り、人類絶滅の危機を回避するよう努力する。

 (2)少なくともまず東アジアを戦争のない地域とする。

2:日本国政府のこの宣言への参加を熱望する

3:東アジアの政府を動かす運動を切望する

4:東アジアのみならず、ほかの地域の戦争放棄に一歩近づけたい

 

85歳以上といえば、戦争を知る最後の世代と言える。

彼らはなぜ今、東アジアの不戦を訴えるのか。発案者であり元早稲田大学総長の西原春夫氏(92歳)に詳しい話を聞いた。

 


・日本の「長老」が不戦を呼びかける

 

―― 西原さんは自ら呼びかけて「東アジア不戦プロジェクト」を立ち上げました。


西原春夫氏(以下、西原):私はここ数年の国際情勢を見ながら「危ない」と感じていました。

冷戦終結後、世界は平和になるかと思われた。


しかし冷戦の勝者である自由主義国陣営の中から新自由主義経済のグローバル化が始まり、地球規模の格差拡大や環境破壊、温暖化などの現象が顕在化しました。


こうしたグローバリズムの反動として、各国では個人や国家の独自性を強調する傾向が生まれ、EUの移民問題ブレグジット、トランプ現象、中国の膨張主義に象徴される排外ナショナリズムや一国中心主義が台頭してきました。


「世界は戦争に向かっているのではないか」という憂慮は深まるばかりでした。

何かをしなければいけない。


その時は突然来ました。

2019年5月16日午前5時にふと目覚めた私は、突如、落雷に打たれるかのように閃いたのです。


「東アジア不戦条約を結び、まずもって東アジアを戦争のない地域にしよう」と。

しかし、あまりに突飛な構想なので自信はありませんでした。


そこでこの考えを友人知人に打ち明けると、みな一様に「やるべきだ。やろう!」と賛成してくれました。

その中で、すでにASEAN諸国が主導した「東南アジア友好協力条約」という不戦条約が存在し、日本、中国、韓国、北朝鮮などアジア諸国はもちろん、米ロなど世界主要国も批准していることを知りました。


それではどうするか。

そう頭を悩ませていた7月6日、再び突如として閃きました。


「2022年2月22日22時22分22秒に、まずもって東アジアの全構成国の首脳が不戦宣言を行う、という提言をしよう」と。

最終的には旧知の友人である福田康夫元総理に相談した結果、東アジアの全構成国の首脳に不戦宣言を行うよう提言する「東アジア不戦推進プロジェクト」を立ち上げることにしたのです。


それを提言するのは、85歳以上の「長老」の方々が望ましいのではないか。

戦争を経験した日本の長老が自らの経験に基づいて不戦を訴えることほど説得力のある方法はありません。


ご縁のある方に声をかけた結果、大正11年生まれの瀬戸内寂聴さん(作家・宗教家)を最年長として、約20名の方々が「長老」として提言者に名を連ねてくださいました。


その一人である茶道裏千家宗匠の千玄室さんは大正12年生まれで、特攻隊の生き残りでもあります。


千玄室さんは亡き戦友と沖縄線の犠牲者に対する鎮魂の念を強く抱いており、「戦争は絶対にいかん。茶道家の自分に何ができるか。茶道で戦争を超えた心境に達する、そういう茶の心を持つ人を増やす、それによって戦争を食い止める。そういう思いでやってきた」とおっしゃっていました。


「長老」の経験や思いはそれぞれです。

しかし、「戦争は絶対にいけない」という問題意識は全員に共通しています。


世界で対立が深まる今、東アジア不戦推進プロジェクトの設立を宣言し、世界に対して「人類の連帯」と「戦争放棄」という希望の旗を掲げることができた意味は決して小さくないと考えています。

 


・「対立」の解決は困難でも「超克」はできる

 

―― 確かに「人類の連帯」と「戦争放棄」は人類の理想です。しかし、この理想は実現可能なのですか。


西原:戦争の原因は「対立」です。

確かに対立を「解決」することは困難です。


しかし「超克」することはできる。2と3が対立しているならば、6という共通分母を見つければいい。

それによって2と3は対立を「解決」できなくても「超克」によって和解することができるのです。


たとえば、現在米中の対立が激化しています。

その対立を超克するには、米中の共通分母あるいは共通の利益を設定すればいい。

仮に宇宙人が攻めてきたら、米中で対立している場合ではありません。


すでに現在は新型コロナウイルスという人類共通の脅威に脅かされています。

今後、地球温暖化の影響で新型コロナ以上に恐ろしいウイルスが誕生する可能性は否定できないどころか高まっている。


確かにコロナ危機により、世界では排外ナショナリズムや一国中心主義、国家同士の対立に拍車がかかっています。

しかし、他方、コロナ危機は人類共通の課題として、人類を結びつけるチャンスでもあるのです。

 


・不戦の訴えは日本の使命である

 

―― 西原さんの体験や思いはどういうものですか。


西原:私は治安維持法が改正され、張作霖爆殺事件が起きた昭和3年に東京で生まれました。

日本がまさに戦争へ転がり落ちる時代に生まれたのです。


昭和11年2月26日には大雪のなか小学校に行きましたが、休校の張り紙がしてあり、首を傾げながら家に帰ると家族が騒いでいました。

二・二六事件の時、目の前で父親を殺された渡辺和子さん(元ノートルダム清心学園理事長)は姉の同級生であり、子供心に「大変なことが起きた」と身震いした記憶があります。


翌12年には日中戦争が始まり、16年には太平洋戦争が始まりました。

昭和19年にはサイパン、グアムが陥落して本土空襲が現実味を帯びました。


当時、私が住んでいた武蔵野には、中島飛行機株式会社の武蔵製作所という国内最大級の工場があり、本土空襲の時は真っ先に狙われると言われていました。

しかし、武蔵野消防署の消防隊員はみな兵隊に取られていて、いざという時に消防活動ができない。


そこで、私が通っていた中学校の中から運動神経の良い生徒を20人選んで、臨時の消防隊員にすることになりました。

私もその一員に選ばれて同級生たちと消防訓練に励みました。


そして同年11月から武蔵製作所を標的とする空襲が始まり、爆弾や焼夷弾が降り注ぐ中で消火活動に走り回りました。

出動命令が発令されて飛び出した数十秒後に元いた場所に爆弾が落ちるなど、ギリギリのタイミングで命拾いしたこともあります。


しかし学徒動員で工場に働いていた妹は工場内で結核をうつされ、終戦後に亡くなりました。

妹も戦争犠牲者です。


兄として妹を救えなかった、戦争さえなければ幸せな人生を送っていたと思うと、今でも胸が締め付けられます。

そして昭和20年8月15日が来ました。


当時17歳だった私には、8月15日は単に戦争が終わった日、日本が敗れた日ではありません。

それは、自分の価値観が根底から覆された日でした。


その日を境に、それまで善とされてきたことが悪になり、それまで悪とされてきたことが善になった。

多情多感な時期に、価値観の激烈な転換を強いられる苦痛は想像を絶するものです。


「騙された」と思いました。

「大人は我々を騙した。もはや誰も、何物も信じられない。信じられるのは自分だけだ」と。


それから怒りが湧いてきた。

「戦争で罪もない民衆が命を落とした。俺の妹も命を落とした。誰がこんなバカげた戦争を起こしたのか。絶対に許せない」と。


それ以来、「名目如何を問わず、戦争は絶対にいけない」という信念が血肉化されました。

同時に「全員が正しいと思っていることはどこか間違っている」という違和感も骨肉に刻み込まれた。


そういう言説はどこか胡散臭い。

しかし不戦だけは絶対に正しい。


なぜなら、戦争はそれこそ絶対的な価値を持つ「生命」を奪うものだからだ。

そう確信しています。

 

―― 今後はどのような活動に取り組むのですか。


西原:まずは日本国内で不戦の理念を呼びかけていきたいと考えています。

具体的には、メディアを通じて国民に対する発信を行いたい。


日本国民は必ずや呼応してくれるはずです。

また、次世代を担う「若者の会」や超党派の「東アジア不戦推進議連」を作りたい。


不戦は与野党の共通分母であり、超党派議連も「超克の論理」で実現できるはずです。

その次はアジアに呼びかけます。


マレーシアのマハティール前首相など、東アジアの長老たちと連絡を取り合い、具体的な組織を作りたい。

中国やベトナムなど社会主義国の場合、民間の長老が国策を提言することには難しい部分がありますから、その点に配慮しながら進めていきたいと考えています。


最終的には世界です。

たとえば、日本がドイツに呼びかけ、ヨーロッパの全構成国の首脳が不戦を宣言するよう努力してはどうか。


その次は南北米大陸、その次は……という形で、不戦の理念を広げていければと願っています。

 

―― しかし、そもそも日本は戦争を始めてアジアに戦災をもたらした国です。


西原:だからこそ説得力があるのです。

いかなる名目があろうとも戦争は絶対に起こしてはならない、このことを最も説得力をもって主張できるのは、かつて自国の名目を掲げて戦争を始めて他国に甚大な被害を与え、自らも大きく傷ついて敗れた国ではないか。


その後過去の反省の上に立ち、戦争放棄憲法の中に明言して、平和国家として戦後の歴史を歩んできた国ではないか。


世界に不戦を訴える、これこそ天に与えられ、歴史に授けられた日本の使命です。


(8月9日、聞き手・構成 杉原悠人)<提供元/月刊日本2020年9月号>


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85歳以上の日本の「長老」たちが不戦を掲げて立ち上がったワケ
ハーバー・ビジネス・オンライン 2020.08.25
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ウクライナへ侵攻するロシア。

今回のロシアによるウクライナ侵攻で、日本の多くの方々は「世界」に目を向けたのではないでしょうか。


日本国内の報道のみならず、世界に目を向けるきっかけとなったという意味では、視野が広がった方々も多いのかもしれません。


高校や大学などで「世界史」を専攻していた方は、過去の様々な紛争の事実もご存知かと思います。


私事で恐縮ですが、私個人、高等学校の「地理・歴史」「政治経済」と中学校「社会科」の教員免許を持っています。

私が思う「世界史」。


「世界史」の習う範囲は「欧米の歴史」が多くの比重を占めます。

「世界史」と言っても、まさに「欧米の歴史」と言っても過言ではありません。


例えば、米国は英国によって白人社会を構成してきました。

カナダ、オーストラリア、ニュージーランドも英国支配となり、その土地の原住民から白人社会を作り上げてきました。


この3国の国家元首は現在でもイギリス国王(現エリザベス2世)です。

インドも英国の植民地でしたし、アフリカも欧州支配が長く続いてきましたし、欧州は歴史上、植民地政策などで世界中の多くの土地で影響力を有してきました。


もちろん、現在も影響力は多大です。

そして、その欧州の歴史は、ロシアの歴史とも深く関係を持っています。


ロシアの土地は広大ですが、首都はモスクワです。

モスクワの地理をご存知の方は十分理解しているかと思いますが、欧州寄りに位置しています。


過去のロシアと欧州各国との紛争の歴史は非常に多く、度々欧州諸国との紛争がありました。

このような意味では、ロシアは非常に欧州政治との関わり合いが深いとも言えます。


フランス・ナポレオンはロシア帝国に敗れてますし、第二次世界大戦ではドイツ・ナチスヒトラー旧ソ連に参戦し、結果ドイツは敗戦しました。

時には敵、時には味方となり、英国やフランス、ドイツなどとも複雑な関係を続けてきたとも言えます。


だからこそ。

欧米諸国は、ロシアが何をすれば怒るのか、何をすると平和を維持するのか、その境界を良く理解しているとも言えます。


日本は欧州の歴史とは、決して深いとは言い切れません。

だから日本人は、ロシアが急に民主主義国ウクライナに進攻するのは何故か、その本質を理解できない人も多いのかもしれません。


メディアが「100%ロシアが悪い」と報道すれば、そのまま信じてしまうことが多いのではないでしょうか。

ただ。


日本政府と日本のメディアはロシアの脅威を連日煽っています。

まるで、コロナ騒動と全く同じ状況ではないでしょうか。


コロナ危機を煽る各メディア。

コロナウィルスを煽ることで、日本は何度も海外製ワクチンを購入、日本人の大半が何度も接種する羽目に。

そして、まん延防止重点措置や緊急事態宣言で経済が麻痺。


なぜか、世界経済でも日本が一人負けの状況。

もしかして、コロナ騒動による最大の敗者は、日本だったのではないか?とも思えるほどです。


そして。

間髪入れずに、今度はウクライナ危機。


ロシアの脅威ばかりを強調して、何故か「核保有」議論、改憲議論。

テレビやマスコミは、まるで日本を戦争に向かわせたいかのように感じられます。


しかし。

今一度、良く考えてほしいと個人的には思っています。


過去において、世界中。

あらゆる紛争に、マスメディアは絡んでいたという歴史があります。


日本も、太平洋戦争もそうでした。


メディアがある勢力に支配されたとき。

紛争を望む勢力などが、コントロールできる状態となったとき。

一定の勢力が、都合のよい方向に世論を持っていくための「プロパカンダ」であった事実は忘れてはなりません。


本当に、ロシアだけが、100%悪いのか。

私たちは「常識」とは何か、「一般論」とは何か、疑うことも必要なのかもしれません。


「日本のメディア」や「欧米のメディア」を信じるだけでいいのか。

立ち止まって考えることを忘れてはいけないのではないでしょうか。


大事なのは「広い視野」と「多様な視点」。

テレビや新聞は、単なる一民間企業です。


クライアントや株主、政治からの圧力など、様々な「意向」があって当然かもしれません。


なぜ、ロシアが侵攻したのか。

なぜ、「核保有議論」に移行したのか。

なぜ、「改憲論」に派生したのか。


その結果、日本の防衛力はどうなるのか。

その先は、本当に日本の平和が訪れるのか。


世界には紛争を望む階級の人たちが数多くいるという事実を忘れてはなりません。

もちろん、日本国内にも。


そのような意味では、政治家とメディアは、日本の平和において大きな影響があります。

では、どうすればいいのでしょうか。


日本の平和を、日本人の命を守るために、どのようにあるべきなのでしょうか。


対ロシア、対中国を煽る政治家たちとメディア。

保有や防衛力強化を論じる政治家たちとメディア。

先制攻撃を論じる政治家たちとメディア。


本当に、その先には、平和な日本が見えてくるのでしょうか。

苦い戦争を経験し、世界で唯一原子爆弾を投下された国、日本。


改めて、戦争に参加するべきなのでしょうか。


日本だからできること。

日本にしかできないこと。


日本人だからこそ、訴えるべきものとは…

 

 

 

 

 

【参考】

 

SMAP『Triangle』(作詞:市川喜康 / 作曲:市川喜康)

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都心を少し外れた小さなこの部屋から
どんなに目を凝らせど見えないものばかりだ

例えば遠い空に誰かが祈っていたり
例えば身を潜めてキミが怯えてたり

すべてに満ち足りた明日の日を求め彷徨う亡者の影
破壊でしか見出せない未来の世界を愛せないよ

僕の目が キミの手が 僕らの声が
それぞれ異なっているように 自由でこそ生命だから

僕の肌 キミの母 僕らの愛は
蒼く浮かぶちっぽけな惑星に舞い降りた奇蹟

無口な祖父の想いが父へと時代を跨ぎ
一途に登り続けたひどく過酷な道

わずかな苦しみも知らぬまま
後に生まれ生きる僕ら
受け継ごうその想い 声の限りに伝えるんだ

大国の英雄や戦火の少女
それぞれ重さの同じ 尊ぶべき生命だから
精悍な顔つきで構えた銃は
他でもなく僕らの心に突きつけられている

深く深く刻まれたあの傷のように

僕の目が キミの手が 僕らの声が
それぞれ異なっているように
自由でこそ生命だから

僕の肌 キミの母 僕らの愛は
蒼く浮かぶちっぽけな惑星に舞い降りた奇蹟

大国の悲しみも見果てぬ母も
それぞれ重さの同じ 尊ぶべき生命だから
精悍な顔つきで構えた銃は
他でもなく僕らの心に突きつけられている

そう、怯える君の手で

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SMAP『Triangle』(作詞:市川喜康 / 作曲:市川喜康)